とりあえずそういうことで

◆ 妖精事務員たみこ のオフィス図鑑 ◆

●精神衛生の掟 その4 果てしなき戦闘の彼岸 1 解脱四天王


 次第に異常さを増す自殺戦隊シヌンダーの攻撃に、大根丸がへこむという事故までおきてしまいました。たみこも、このままシヌンダーの攻撃をただやりすごしているわけにもいかなそうなことを感じていました。
 たみこと大根丸は、女子トイレの個室で作戦会議を行なっていました。ついでに、大根丸のへこんだところをトンカチで叩いて元通りに修理します。
 こんなところを誰かに見られたら、間違いなく電波な人として大騒ぎになってしまいます。
「攻撃こそ最大の防御!」
 修理中の大根丸が、たみこにいいました。
「攻撃って・・・あたしも自殺することになるの? それは、なんか違うと思うなあ」
 たみこは、シヌンダーに対するよい攻撃方法を考えました。
「自殺がシヌンダーの攻撃方法なんだから、逆に自殺しなくなくなるようなことをしてやればいいのかしら・・・」
「解脱・・・シヌンダーの悩みを昇華してやればいいんだ」
 大根丸がひらめきました。
「ということは・・・」
 たみこは、妖精の国の解脱四天王を思い出しました。
「解脱四天王ボクネンジン を呼びましょう」
 大根丸は、たみこに解脱四天王のポスターを手渡しました。そこには、妖精の国が誇る悩み解決最終兵器解脱四天王の姿が描かれていました。

 筆者 注)「」内は妖精の名前です。ねんのため。

 ・三角頭で悩みのツボを刺激する「自己開発」
 ・目玉の離れた顔と長い首であらゆる存在を肯定する「絶対存在」
 ・メガネッ子顔がいやしを呼ぶ「集合無意識」
 ・ツメエリ学生服で硬直した精神世界を解凍する「輪廻解凍」

 四人ともトンボみたいな羽を背中につけた手のひらくらいの妖精です。
 − これまで見た中で一番小さい妖精だわ −
 たみこは、そのポスターをしげしげと見つめました。

 筆者 注) 故手塚治虫先生の「ミクロイドS」のレコードをもっている人はBGMでかけましょう。

 たみこがポスターに書かれた電話番号に携帯から電話してみました。
「あなたの悩みを解決する解脱四天王。90分2万5千円からのご案内になりまーす。チェンジ、コスプレ無料。早あがりナシ。」
 アニメ声の明るい声が、たみこの耳に飛び込んできました。
「あたしは、妖精王の娘 たみこ です。人間界に巣くう敵=自殺戦隊シヌンダーを殲滅するために、解脱四天王ボクネンジンの出動を要請します。」
 たみこが、威厳をもってそういうと、電話の向こうのアニメ声が元気よく答えました。
「はーい、たみこ王女のお願いならば、いくぞ、火の中、水の中! 解脱四天王ボクネンジン 発進だぴょーん!」
 たみこは、思わず電話の相手を絞め殺してやろうかと思ってしまいました。


 さあ、いよいよ次回こそ最終回!
 ほんとは、今週で終わる予定だったのですが、解脱四天王の絵を描いていたら終わりませんでした。


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